初診の気持ちで診察を受ける

整形外科から歩いて心療内科まで行きました。
H先生にお手紙を書きました。元々精神科で働いていた経験のある自分。どうせ診てもらうならきちんと診てもらおうと。でも、そのためには今の状態を口で話をするのは難しいと思ったので。
うまく渡せるのか、読んでいただけるのか、先生の顔を見る頃には、もうドキドキでした。

「今日はどうですか?」とたずねられて
「少しドキドキしています。」と答えた後「口で話しをするのがあまりうまくないので、先生にお手紙を書いてきました。」と申し上げると
「あぁ、そうですか。拝見してよろしいですか?」と受け取ってくださいました。
結局、便箋6枚もの長文の手紙になってしまい、「少し長い手紙になってしまいました。」といわなくてもいいような言い訳をしていました。

中から便箋を取り出すと、「では拝見します。」と断った上で静かにゆっくりと、時々うなずいたり、表情を止めたりしながら(途中で処方箋の判子をもらいに来られた時も文章から目を離さず)真剣に最後まで読んでくださった先生の言葉は、少しの間を置いて、私の顔を覗きこむような感じで
「これは・・・こちらが把握している以上に深刻な状態ですね。」と。
「意欲がない、興味がない、そして料理の味付けに自信がない、これはもう典型的なうつ病の症状なんです。」
「ずっと長い間、奥深いところに抑うつ状態が潜んでいたんでしょうね。」
「そう考えれば、睡眠障害も身体症状としての動悸などや不安な状態なども全て説明がつくんです。」
「今までは、睡眠障害だけを考えて治療してきましたが、この際方針を切り替えて、抗うつ剤を出しますね。」と。
そんなわけで、抗うつ剤であるパキシルが追加投薬されることになりました。

「仕事もし、家事との両立もしているのに、身内の世話も焼いている。もういっぱいいいっぱいですよ。」
「自分が食べたくないのに、食事を作らなければいけないということもとても負担になりますから、出来合いのものを増やすとか、手を抜くようにしてくださいね。」
「今ある仕事をいかにしてこなすかよりも、いかにして今の負担を減らすか、ということを考えてください。少しゆっくり休んだほうがいいので、できたら仕事も休んだほうがいいんですけどね。」
といわれたところで「先生、それはできません。今うちの職場は現場が私と看護師の二人だけで、一人が休むとものすごい負担になるので、出来る限り早い時期からお互い相手の了承を得て、そのあと院長に申請して、予約を減らしてもらっているんです。突発的に病気でもしない限り休んだり出来ません」と答えたら、にっこり笑って「これはもう立派な病気ですよ」と返されてしまいました。
「でも、今の私は仕事をしている時が一番気持ちが楽なんです。」と訴えたところ、「そうでしょうね。今までの話や文章から考えても、仕事を休むとか減らすとかということは一番辛いでしょうから、『仕事を休め』とは言わないようにします。ただし、無理はせず、負担はなるべく軽くして、明日できることは明日に回すとかしてくださいね」
こんな感じで診察は終わりました。
「家に帰ったらご主人にも『うつ病だと診断されたので、家庭のことも十分に出来ないかもしれない。出来るだけ家事を手伝って欲しい』と伝えなさい。」といわれたときは「うちの主人には家事能力がありません。」と言い切ってしまいましたが、とりあえずうつといわれたことだけは伝えました。