診察日

今日もまた最後の患者になるように出かけて、診察を受けた。いつもの手紙を渡して読んでいただいて。「まだしんどい状態ですね」と。どうしても休むことに慣れられない。常に不安と焦燥感にさいなまれる自分。頭の中が真っ白で、物事の善悪やら、自分の行動さえ判別できない私。
「家庭人として生活をし、自分の時間を持つように」といわれたが、その時は『自分の時間』を持った事がない、と思った。でも、薬局に歩いていく道すがら、独身時代には自分の時間を持っていたことがあったなぁ、と思い出した。一人で車に乗って六甲を登ったり、夜中に走りに行ったり。終電をわざと外して朝までAちゃんのところで飲んでいたり。
親からも仕事からも解放される、つかの間の時間を思い出した。
先生には生育歴みたいなものも渡して読んでいただくこととした。あれに書いてあることは嫌なことばかりだ。自分の時間なんてなかった。夜中にトイレや階段の電気で本を読んでいた。足音がしないように階段を上っていた。ご飯も沢山作った。餃子や塩辛など、手伝うことはたくさんあった。
今日は少し言いよどんでいたことを話してしまった。
「10年働いたところを出産の為とはいえ、(退職時に)引き止められなかったのは、あなたの人間性に問題があったからじゃないの?どうしても必要な人間なら、手元に置いておくでしょう」と今の上司からいわれたこと。言われてしばらくは誰にもいえなかったこと。悔しくて悲しくて泣いたっけ。「あなたなんて今ここで、僕がクビだといったらクビなんだからね」ともいわれたなぁ。さすがの主治医も苦笑いしながら「それはちょっとひどすぎるなぁ・・・」とおっしゃってました。