解決するのは困難な問題

昨日は診察日だった。1週間とても忙しくしていたこと、看護の日の行事に行って、今までとは違う興味の薄れた感覚、「来年は行かなくてもいいんじゃないか」と思ったこと。京都での非日常的な贅沢な時間のこと、そこで思い出されたこと、息子から母の日のプレゼントをもらったことなどを話した。Y下さんとのやりとりは話さなかった。話すだけ辛くて無駄なことのように感じられたから。


京都タワーで手芸用品店に入ったときのことを話していると、知らず知らず涙が流れていた。止めどなく流れる涙とあふれ出る言葉。私の思い。
主治医はさもありなん、と言う顔でうなずきながら
「このことはね、永遠のテーマですよ。いつまでも続く問題で、何かにつけて思い出してしまうことだと思います。あなたと、あなたのお母さんとの関係はこの先修復できるか、というとそれはもうできないことだと思います。それでも、あなたは自分の息子さんとの関係修復には間に合ったわけです。もしかしたら息子さんにも同じような気持ちを抱かせてしまったかもしれない状況の中で、早めに気がついてあなたの家族はとても変わったでしょう?特に息子さんはこれまで年齢以上に聞き分けがよく、とても「いい子」だったけれど本当に『お母さんが大好きで甘えてくる』本来の姿を取り戻すことができた。そこはとてもいいことです。今回看護の日のことに関しても、以前なら執着して、どうかすると社会復帰への焦りを生んでいたものだったけれど、さほど興味がなくなって、来年は辞めようか、と考えていることは軸足がだんだん家庭の方へ向き始めていることだと思いますよ。まだ完全ではないですけれどね。だからとてもいい傾向にあると思います。ご自分の親との関係についてはことあるごとに思い出される問題で、根っこがあまりにも深いので、時には辛かったり腹が立ったりすることもあるでしょう。そのことで涙を流すのは悪いことではありませんから、その都度その都度心の整理をしていくようにしましょう」
と諭してくださった。


息子が実験学校で作った葉脈標本のしおりを「母の日のプレゼント」だといってくれたことを報告し、実物を見ていただいた。まぁ、もっとも名前を書き終えたところで「あっ、そうや『母の日』やってんやった」と思い出して「お母さんへ」と書き足した、というエピソードまであるので笑ってしまったが、
「やっぱり子供にとって、『お母さん』というのは特別な存在ですからね。こんなんもらったらうれしいよね」
と一緒に喜んでくださった。


今回は涙あり笑いありの診察で、涙顔のまま診察室を出たけれど、気持ちはとても楽になった。
どんなに泣いても冷静に受け止めてくれて、笑ったら一緒に笑ってくれて、本当にいい先生に出会うことができてよかったと思う。まだまだ波があると思うけれど、今の主治医について行けば大丈夫、と思えることに感謝。