結局もとの業界へ

それからは、いちおう主治医の了解を得られたという事で、求人誌やネットで自分の条件に合う仕事探しが始まりました。
今年41歳で、年明けには42歳になる私にとって、「40歳」というのは大きな壁。「40歳位まで」と「40歳まで」では全然条件が違います。
それに子供を学校に送り出してから出勤したいので、例えギリギリだとしても通勤時間の問題もあります。残業もできれば少ないほうがありがたい。でも、そんな事を言っていたらできる仕事なんて残りません。
派遣会社にもいくつか登録しましたが、「あなた様の条件では、当方ではお力になることができません」と謝罪のメールが来る始末。どうしても定期的に収入が欲しい私にとっては、厳しい状態でした。うつだってまだまだ治療中なので、絶対に無理はできないし。


そんなことを考えながらネットで求人を探していたら、「とりあえず応募してみてもいいかも」という案件が1件見つかりました。見つけた時点で応募の締め切りまで1週間程度の日にちがあったし、締め切ったあとに書類選考などをして、条件がよければ面接の連絡が来るだろう、ぐらいに考えていて、その間に主治医ともう一度相談しようと思っていたのですが・・・
締め切り前に携帯に連絡があり、
「業務内容はこれこれしかじかで、あなたの条件とは必ずしも一致しないが構わないか?」
と尋ねられたので、「それは問題ありません」と返事をすると
「じゃあ今からでも面接に来て欲しい」といわれて焦る焦る・・・
まだ主治医とも相談していないし、履歴書なんかも書いてないし・・・それでも千載一遇のチャンスかもしれないので、干しかけの洗濯物も放り出して、求人誌についていた履歴書にあわてて書き込んで、証明写真はどこかでとろう、とその部分に両面テープを張った状態で(^^;)そのへんにあった白封筒にいれて現地にすっ飛んでいきました。


面接は事務長と看護師長のお二人でした。業務内容も大半は経験があるものだったし、わからないことは納得がいくまで研修をさせてもらえるという話でした。また救急指定病院で夜診もあるため、5時以降は看護師とバトンタッチをしてほとんど残業せずに済む、というのが何よりもありがたく感じられました。
元々クリニック勤務の経験しかないので、他職種の人たちとの連携は欠かせないものでしたし、病院なのに1人職場なので、「お山の大将」で仕事をしてきた私にはうってつけのお話でした。
履歴書に「体調を崩して前職をやめたので、決まった時間内での仕事をしたい」というようなことを書いたことと、採用になった場合の初出勤をいつにするか、という話の中で「主治医と相談の上で」と返事をしたことでうつ病であり、現在も服薬・治療中であることも伝える事ができたので、これで不採用になってもいいや、と清々しい気持ちで帰宅できました。
それでも翌日の午後には今度は家の電話に連絡があり、
「会議にかけた結果、採用になりましたので、ぜひともお越しください」
といわれ、1週間足らずのうちにお仕事する事が決まってしまいました。


その夜、診察日だったのでわかる限りの資料を持って主治医に報告をしました。
ちょっとびっくりされたけど、もともといた業界での仕事である事で、安心していただく事ができました。
ただし、これまで自分や家庭を犠牲にしてまで働いてきて病気になってしまったことは明らかなので、
「あくまでも中庸である事」
「決して無理はしないこと」
「慣れるまでは特にしっかり休養を取る事」
という約束のもと、お仕事をはじめられることになりました。
勤務開始日についても、傷病手当を満了したい事、子供の行事のため、早くても翌週以降でないと勤務を開始できない事、何よりも就職活動をしてもよい、という了解は得ているものの、病気療養中なので、主治医に相談してからでないときちんと返事ができない旨を伝えられた事で
「本当にいいタイミングで仕事が見つかってよかったですね」
と言っていただく事ができてうれしいです。


今度は二の轍を踏まないように、自分や家庭を大事にして、無理せず細く長く働きたいと思っています。