今日はナポレオン展にでかけたのだが、あいにく月曜日は休館で、結局神戸までドライブに行っただけみたいになってしまった。
帰宅後、主治医への手紙を仕上げて、プリントアウトしてから読み直してまた直して、ってしてたら家を出るのが遅くなって、連休前のせいもあって15番目だった。
今日は、診察前はそわそわする事もなく、イライラする事もなく、何だか抜け殻になったみたいな感じになっていた。


診察室に入ったら、なんて言おうって考えても考えても言葉が浮かんでこない。ただひたすら寝てただけだったなぁ、とか、何もやる気になれない、とか思うんだけどうまく言葉にできない。どういえば先生に今の自分が伝わるのか、それを考えるのも面倒なような感覚で座って待っていた。いつもなら自分の番が近づいてくると、頭の中が一杯になってドキドキしてくるのに、それすらも感じられない。


診察室に呼ばれて「今日はどうですか」と尋ねられてちょっと困ってしまった。言葉がやっぱり浮かんでこなかったから。「何もやる気になれないし、考える力もない」「ずっと寝てばっかりでした」「やっぱり生きてると言う実感がない」と言うような事を口にしたように思う。先生は少しがっかりしたような顔をなさりながら「そうですか」と返事をされて、いつものように手紙を読んでくださった。
読み終わった先生は少し困ったようながっかりしたような顔つきで、「やっぱりしんどいですね」というようなことをおっしゃられたと思う。過眠傾向にあることについての理由も説明してくださったのだけれど、何を言われたのかもう思い出せない。ほんの数時間前のことなのに。
「家族に対する関わりに関しての気持ちが希薄に思えるのが心配です」とおっしゃったので、「関わり方がわからないし、自分がしていることに自信がない」と答えた。「それはそうかもしれない」とうなずきながら、「でもね、もっと自信を持っていいんです。女性のうちで結婚や出産を機に家庭に入ってしまう人たちがたくさんいるなかで、結婚もし、出産もして子育てもしながら常勤で働いてきた。そんなひとたちはせいぜい3割ぐらいですよ。その難しい3割の中に含まれてきていた、そのことは誇りに思っていいし、もっと自信をもっていいことだと思います。懇談会に行って見て、そんなひと、みつけられましたか?そうはいないと思いますよ」と私を肯定してくださる。


「私は、自分の母親に対して対抗心みたいなものを持っていると思う」というと涙が出た。先生は「それはあるでしょうね」とうなずきながら話を聞いてくださる。
「子供の頃、アトピーがひどくて肌が決して綺麗ではなかった私に向かって母は『ママの肌は白くてきれいでしょう』と自慢げに言うんです。じゃあ、そうじゃない私はどうなのって今なら言い返せるけれど、その時はとても悲しかった」
「鍵も持たされずに、家の外から鍵をかけられて、ほとんど幽閉状態で物心つくかつかないかの頃からおいて歩かれたので、自分の子供には絶対そんな事はしないと思って、どこへ行くにもつれて歩き、本人が自分で『留守番をするから』というまでは留守番をさせなかったけれど、留守番をする話をすると『置いて歩くなんてひどいことをする』と非難された」など、思い出したことを話しているうちに自分が惨めになってきて、そのときのことを思い出して涙が止まらなかった。
先生は「息子さんに対する、留守番に関しての対処の方法はとてもいい対応だったと思いますよ」といってくださり、「子供時代のそういう経験が今の症状と無関係ではないけれど、今自分が抱えている劣等感・自己評価の低さはまったく根拠のないことです。あなたの今の課題は『自己に対する過小評価』と『他人に対する過大評価』であること、これを常に胸のうちに入れておいてください。そこの認識を変えることができないと乗り越えることはできない」とおっしゃる。


「でも先生、私は今までほめられた事がない。だからどうやって自分を評価していいのかわからない」そういうと、「なんでもいいんです。今の状態ならば食事のしたくをすること一つとってもすごくしんどい事のはずだから、『今日はご飯を作ることができた』『部屋の掃除ができた』そんなことでいいんですよ」そうおっしゃって「1歩ずつ進んでいきましょう」と結んでくださった。


家に帰って旦那に話したら「パパと息子がベタベタ・いちゃいちゃくっついていくこと自体が充分評価になっていると思うんだけどなぁ」と言ってました。「愛されていて、大事にされているな、とは思うけれど、それなのに自分は何も応えられるようなことができていないなぁ、と自分をマイナス評価してしまう」といったら「それはむずかしいねぇ」と話していた。今日は旦那とたくさん話した。涙も一杯流した。
ほめられた事がなかった人生で、旦那だけが私のことを無条件で認めてくれたからお嫁に来た事も話した。それでも、結婚してこの方「あんたのようなのをお嫁にもらってくれたいい旦那さんなんだから尽くして尽くして大事にして、捨てられないようにしなさいよ」といわれ続けている事も話した。ずっと「だんなのほうが私のことを好きなんだから、捨てられるなんてあり得ない」と笑い飛ばしてきたけど、病気になって本当にそんな事になったらどうしよう、と不安になったことも話した。
自分が思っている以上に、旦那も息子もママの事を愛してくれている事も再確認できた。それをどうやって自信に結び付けていく事ができるのかは、これからの課題なんだと思う。


今の自分には旦那と息子と主治医がいなければ生きていく事ができない・・・・・