面談

約束の2時過ぎに学校へ行って来た。教室ではまだお当番の子供たちが掃除をしていて、追い立てられるようにして帰っていったので、邪魔をして悪かったなぁ、と思った。
担任とは2時間近く話し合った。まず、一番の問題は「ボタンの掛け違い」と「認識の違い」だった。
「おかあさんは、過去の事とかもあって、ずいぶん心配されているみたいですけど、案外本人は気にしてないんと違いますか?」どこからそんな言葉が出てくるんだろう、とちょっとむかついた。そもそも転勤してきたばかりなのに、『過去の事』をどれだけ知っているというのか?ずっと「学校は大好き」といっていた子が「行きたくない」とか「辛い」といって泣いている姿を見て、心配しない親がいるというのか。


話が振り出しに戻って、一番最初の、息子が学童に遅れた言い訳の事実確認をするために学校へ行った日のことから話し合った。
担任いわく
「あの時、彼が嘘をついていたことは事実ですし、大概の子が初めはごまかそうとしてあれこれ言い訳をするけれど、突き詰められて結局は泣いたり、ごめんなさいと謝ったりするのに、子chopperさんはああいえばこういう、みたいに次から次へと言い訳が出てきて、頭の回転もいいので、なかなか自分の非を認めようとしないんですよね。だから、私はおかあさんが彼を伴って学校へ来たという事は、どうやっても謝らないので手を焼いて、どうしても嘘をついていることをはっきりさせて、『ごめんなさい』と言わせたい、と思われたんだと考えたんです。だからかなり厳しく問い詰めて、まぁ、教室の壁に墨で落書きをした件については私自身納得できていなかった事もあって、例として言わせていただいたんですが、とにかくおかあさんの要望にこたえて、しっかりと完璧な指導ができた、と思っていました」とのこと。
それって私が聞きたかったことじゃない。息子が嘘ついているなんて、ばればれだし、それでもどこまで本当で、どこから嘘なのか、そもそも学校のボールが学校の外にあるなんてことが実際にありえるのか、もし本当にどこかで拾ったんだとしたら、その時は正式な対応はどうすればよかったのか、そんな事を聞きたかったんだよ。中学校の学校通信がときどき門やフェンスに貼られているから、そんな事をしているときに忘れていったのかもしれないし、うちの息子は中学に興味があるから、ものすごく気になって、本当にその方向まで行っていたのかもしれないし。そういう事実確認をしたかったのであって、嘘をついていることについては我が家ではとことん追究するので、嘘をついていることは許されないし、それでも、私は「うそつき」と言う言葉は使わないよ、めったに。
そう言ったら
「あぁ、そうしたらそれは私のまったくの勘違いですわ。私の受け止め方が全然違っていました。とにかく子chopperさんは、怒られてものらりくらりとかわしてしまうところがあって、そういう意味では自分としては指導しきれていない部分でもあるんです。だから、おかあさんも手を焼いておられて、学校につれてこられたんだと思っていました」とあっさり。
私は事実確認に行っただけのつもりだったから、今まで、連絡帳にもかかれていない、聞かされてもいないことを並べられて「あんたはうそつきやんか」といわれた事にとてもショックを受けたし腹が立った。でも、子供の前で親と教師が争う姿を見せるのはよくないと考えたので、あえて個人懇談のときに話をさせてもらったわけで、そのときには「学校へ行きたくない」って言い出すことがあると伝えたら「私の言葉が原因でそう思っているのなら、それは私としても困りますね」と返事をしたやないの。それで、そのあとフォローしてくれていると思っていたのに、2学期が始まってこんなことになったから、あえて手紙を書かせてもらったんだよ。
それに対しての担任の返事はこう。
「いや、じゃあ、もう本当に正直に言わせてもらいますけど、私自身はあのときにどうしてでも『ごめんなさい』といわせてやろう、という気持ちがありましたし、嘘をついたことは事実だったので、お母さんの要望にお応えできて完璧な指導が出来たと思っていました。それなのに、懇談会のときにおかあさんがそのことについてめちゃめちゃ怒っておられたので『何を怒ってるんやろか、何で私が怒られなあかんのやろか』とびっくりしたし疑問やったし、正直消化不良の状態でした」
「でも個人懇談で後ろもつかえてるし、時間も限られてるし、そのあと彼が私を避けている風でもなかったので、まあいいわ、と思ってそのままにしてました」
疑問に感じたんだったら、連絡帳に書いてくれるなりのことはできませんでしたか?夏休みの間にその事を胸の中におさめとったわけですか?とたずねたら
「すみません。すっかり忘れてました」とのこと。
「だから手紙を書いてくださって、中身を読んでびっくりしました。彼は本もよく読んでいるし、頭の回転もいいし、自分に不利にならないように話をつくっているようなところがありませんか?」
「この『あんな思いをするのはもうたくさんだ』なんて言葉を言われたら、ものすごくドキッとしますよね。小学校3年生の子供が使うような言葉ではないですよ、普通は」
だって本当にそう言ったんだもの。私だってびっくりしたさ。でも、うなだれて布団の中で泣いてる子供がそういうんだもの。その事実を知ってもらいたかったから手紙を書いたんじゃないの。


延々こんな調子で話はなかなか進展せず、結局いや〜な入学時からの経緯を話さないといけない羽目になった。
1年生の時の担任とのやり取りはアレルギーの件、泥棒扱いされた件、個人情報をいとも簡単に他人にしゃべってしまわれた件、何も解決してない事ばかりで、嫌な思い出ばっかりだ。
次の担任は一生懸命やってくれて、両親そろって学校に呼ばれたこともあったし、いじめはエスカレートしていったし、大変な思いをしたけど「学校は好き」といっていて、先生自身はとてもいい先生だった。
それでも私が教師を信用できないわけ、子供をまもる事への思い、学校とのコミュニケーションをしっかり持っておきたいこと、それを伝えるためには一から説明しなければならないと思ったから。
自分が仕事にかまけて子供のことにかまってこなかったこともあり、うつ病で休職している今、私に与えられている課題は家庭を大切にして、息子とのかかわりをより深めていく事なんだということも説明しました。この夏休み、宿題の為に家族総出で初めての読書感想文や絵日記に取り組んだ事も話した。


最終的に
「教師と保護者が同じ方向性を持ってこどもに向かえるようにできる限りの努力をする」
「追究しても知らん振りするようなときには親に連絡をくれても良い」
「些細な事であっても連絡は密に取り合う」
という結論が出た。期待できそうにはないけどね〜


脱力感と無力感、持っていきようのない怒りと絶望みたいなものを抱えて帰宅した。本当にこんな出来損ないの母親でごめんね、息子よ。