羨む気持ち・・・

今週は月曜日は息子の診察、火曜日は整形と心療内科。これで心療内科を終了するはずだった。お薬も無事に受け取って、起き上がれなくなったりした日もあったけれど、とにかく1年の診察が終了したと思っていた。
診察時には、ヘルパー2級の修了証明書を受け取ったことの報告と、息子からもらったクリスマスカードを披露をできて、だけどヘルパー2級の修了証明書を受け取ったことを帰省したときに自分の親には話せなかったと言って泣いてしまった。夏にヘルパー2級の勉強をしていると話したときに言われた罵倒された(に近い)言葉に傷ついて、もう二度と同じ轍を踏まないと思って構えてしまったこと、実の親なのに、いい報告のはずなのに、そんなことも言えないような関係なのか、と悲しくなったと話したから。


主治医は
「いくつになっても親は子供を支配したがるものだし、これまでのベースの大部分をそういう風に育っていますからね。難しい問題だけど、やっぱり認めてもらえないのは辛いですよね」
と言ってくださり、
さらに
「ご主人がどんな風に言うか、思うかはともかく、もうあなたのご両親はあなたの人生に口出しできる立場にはないんですよ。だから簡単に割り切れるものではないと思うけれど、あなたは今の自分の家族を大切にして、今の家族に必要とされていることを大切にして、自信につなげていくようにしましょうね」
と続けられた。
「とにかく1番は自分の健康、2番は家族ですよ。何よりも息子さんがずいぶん変わったことはとてもよかったことだと思うようにして、くよくよせんとね」
と言われる先生に
「年末年始はどうして過ごしたらいいですか?」
と尋ねると
「何もせんと、家族でのんびり、ゴロゴロしてたらよろしい。無理にいろんな事をやろうとしないようにね」
と締めくくられた。お薬は年末年始の休みが挟まるので、2週間分。投薬内容には変更なし。これで、今年の診察は終わるはずだった。でも、どうしてか「よいお年をお迎えください」とは言えなかった・・・・・


水曜日、息子を学童に送り出して、資源ゴミを出してから布団に潜り込んでしまった。年末になって、去年の今頃のことを思い出したのかもしれない。ゴミを出すのがやっとで、やっぱり大掃除も何もできない自分が悲しかった。
前日、整形でリハに回される時間がすごく遅くなったので、レーザーをする時間がなく、正月を乗り切るためにも肩の注射は外せないと思っていたのだけど、全然布団から出られない。うつらうつらしては目が覚めるけれど体は動かず。セットしておいたアラームよりずっと遅れて無理矢理体を起こす。
午後診が始まる前に受付しようと目論んでいたのに、結局ついたら4時近く。意外と空いていた整形の受付に貼られていたのは「1月15日をもってリハビリ室を閉鎖します」と言う言葉。以前からお母様の介護のためにヘルパーの勉強をされているとか、辞めたい気持ちがあるけれど次の人がなかなか決まらないという話やら、辞めるときにはもめるに違いない、みたいなことをよく話していたので、「とうとう辞めることを決めたのかぁ。それにしても『閉鎖』とは次の人が決まらなかったのかな」程度に軽く考えていた。
診察が終わって実際にリハ室に入ってコソッと「辞めるの?」と尋ねたらうなずきながら「朝からえらい剣幕でおこられましたわ〜」と。1ヶ月以上前に言うのが社会人としての常識だろうとか、前々からお願いしていたことですが、と言っても全然取り合ってもらえず、いきなり張り紙をされてしまったのだといって「あれは『嫌がらせ』なんです」とこぼしていた。
「『閉鎖』とか書いてあるけれど、絶対そんなことはされないと思いますから。新しく点滴室に来ている看護師さんがとてもいい人だから、その人がこっちに来てくれたら、午前中だけでもリハ室あけられますしね。患者さんのことを考えたら、そんな簡単に閉鎖なんてできないと思いますから、大丈夫ですよ。今は私に対して怒っていらっしゃるだけだから」と話しておられた。


私にとっては「こんな張り紙をされて、患者の皆さんに辞めることを周知してもらえてうらやましい」と言う気持ちの方が大きかった。受付にも、リハ室にも、トイレにも張り出してあるのだもの。見るか見ないか、気づくか気づかないかは患者さん次第だけれども、こんな大々的に辞めることを周知させていただけるのは、大事にしてもらってきた証拠だと思う。


そんなことを考えていたら、自分が辞めたときのことを思い出して、ものすごくむなしい気持ちになった。6年間働いてきて、うつ病になった私には辞めることを周知するようなことはできなかったし、雇用主にもそんな気持ちはさらさらなかった。
それまでの評価も何もなく、「もうあなたには仕事を任せることはできない」と言われて退職せざるを得なかった。「もし患者様から尋ねられたら『精神的な病気になったので』と答えていいか?」とまじめな顔をして尋ねられた。それまでのすべてを吹き飛ばすような衝撃的な発言だったように思う。たとえ怒られても、大事に扱われて、嫌みかもしれないけれど退職を周知してもらえるなんてうらやましいことだ。人を羨んでも仕方がないのに、さすがに「うらやましい」といういや〜な気持ちが私を支配する。
そして何もやる気を失ってしまった。


翌日、木曜日は病院は休みのところが多く、エステに行くのも本音で言えば億劫だった。だから朝風呂も入れなかった。それでもなんとかかんとかエステだけには行く。帰り、コンビニダイエットも、岩盤浴も寄らずにまっすぐ家に帰って布団に潜り込んだ。自分だけが苦しいわけではない、辛いわけではない、とはわかっている。人を羨んでもどうしようもないこともわかっている。でも、1年前の言葉がよみがえってきて私の心を凍らせてしまう。苦しくて辛くて、何もしたくない。息子は「うちも大掃除しよう」とか言うけれど、できる状態じゃない。一気にどん底へたたきつけられたような気がする。
仕事を辞めたことを悔やんでいるんじゃない。誰にも(本当にスタッフにも)挨拶の一つもできず、落伍者のように消え去って行かざるを得なかった自分が悲しくて辛い、ただそれだけ。でも気持ちはへこんでしまい、家の台所はどうすればいいのかわからないぐらい洗い物がたまっているし、洗濯物も洗濯機の中で干されるのを待っている。さらにはその倍以上の洗濯物が洗濯されるのを待っている。