記憶の底の自分の過去

火曜日は診察日でした。
休み明けでかなり混み合っていましたが、なんとか息子の塾のお迎えに間に合う時間には診察してもらうことができました。


診察室に入って、いつものように「調子はどうですか?」と尋ねられても、しばらく言葉が出てこない。
やっとの思いで先日からの出来事を話し、自分にはいいことも悪いこともあったはずなのに記憶がない、ということは、子供に語ってやれるほどのことをしてこなかったのか、自分の40年あまりの人生はそんなに虚しいものだったのか、というようなことを投げかけてみました。


主治医は、しばらく言葉を選んでいるのか、黙ったままでしたが、ゆっくりと
「あなたにはメカニズムがわかると思うけれど、過去にあったことを、無意識に心の奥底に閉じこめてしまっているんですよ。無理に思い出そうとすれば、また不安定になってしまうので、無理に思い出す必要はありません。
それにしても、息子さんがそういうことに関心を向けられるようになった、と言うことは彼自身がとても充実した毎日を送れているからで『さぞや、おかあさんも自分の頃には充実した日々を送っていたに違いない』と推測して興味を示しているんですね」
「ただ、お母さん自身は、そういうことに非常に敏感に反応してしまうので、うまく答えることができないんです」
とおっしゃった。


また、この日学校で、給食で残ったマーガリンを数人の児童が踏みつけて遊び、飛び散ったマーガリンが制服のスカートについた女の子や、机や手足などについて大騒ぎになった中、プールかばんがマーガリンだらけになると言う被害を受けた息子が、怒り心頭で帰宅。
「めっちゃはらたつし、また同じようなことをされるのは嫌やから、明日は絶対に学校に行かない!!」
と宣言していたことを話すと
「息子さんはずいぶんと自分の感情を外に向かってはき出せるようになってきましたね。お母さんが働いていたりすると、そういうことができない『おとなしい、よい子』に育ってしまい、大人になっても自分の感情の処理方法を見つけにくい人になりがちですが、その点はいい方向に向かい始めましたね」
「それに、おかあさんにそういうことを話せるようになってきた、というのは、いい親子関係ができている証拠で、大人になってもきっといい思い出を残すことができるようになるはずですよ。そこのところは喜んでいいと思いますね」
と言ってくださった。


「あなたの生育歴はとても不幸で、うつ病にならざるを得ないほどの辛い状況を生きてきたのですが、ご自分の家庭を同じような状況にならないように、幸せな家庭にすることには間に合ったわけですから、そういう家庭を持てたことを誇りに思えるようになりましょう。わたしはずっと『軸足を家庭に向けなさい』と言い続けてきたけれど、そう言う点ではいい方向に向かっていますからね」
そう結ばれた。


寝付きが悪いことは、その時々にデパスを追加することでしばらく様子を見ることになった。天候の関係もあり、どうしても寝付きが悪くなりがちなのだそうだ。私の場合は、そもそも睡眠障害から病気が始まっているので、仕方がないことかもしれない。